【総力特集Bajirao Mastani】Deewani Mastani ひらがな歌詞

今をさかのぼること17年前の1998年、私は学生でした。大学にはほとんど行かず、ビンボー旅行とその資金作りのアルバイト及び映画鑑賞に明け暮れるという、いま思えばたいへんバチ当たりな学生生活を送っていました。そのころキラ星のごとく登場したのが、ご存知「ムトゥ・踊るマハラジャ」です。あの映画は多くの人の心をつかみました。まぎれもなく私もそのひとりです。大画面で観たくて、渋谷の映画館にいったい何回、通ったことでしょう。二桁はいっていたと思います。なんせ時間ならいくらでもつくれる学生でしたから。

そのころ私はインドとインド映画に関するホームページなるものを開設していました。そしてひとえに自分が映画館で口ずさみたいがために「ムトゥ・踊るマハラジャ」挿入歌のひらがな歌詞というものを作り、そのホームページ上で公開していたのです。これが一部でたいへん好評でした。昔語りでたいへん恐縮でございます。

というわけで、三つ子の魂百まで! Bajirao Mastani(「バジラーオとマスターニ」)の日本上映記念として、挿入歌のひらがな歌詞をつくりました!


豪華絢爛ゴージャス歴史ロマンス大作のBajirao Mastani(「バジラーオとマスターニ」)。本国では12月18日(金)、日本ではそのわずか2日後の12月20日(日)に上映予定です。お申し込みと詳細は、主催Space Box Japanさんの こちらのフォーム からどうぞ。

☆予告編の日本語訳はこちら☆

Vol.11 Bajirao Mastani 予告編⭐︎和訳をつけてみた

☆主人公バジラーオの人物像に迫る☆

燃えよバジラーオ☆Episode1 戦を生きる男

燃えよバジラーオ☆Episode2 息子、そして英雄


挿入歌に馴染んでいると映画がもっともっと楽しくなります。ぜひ映画と一緒に口ずさんだり、ひらがな歌詞をご活用くださいね!

……とここまで気軽に書いてようやく気づきましたが、えーと、この曲、めちゃくちゃ難易度が高いです。

インド音楽は厳格な理論に基づいており、拍や音階にいくつもの「型」が存在します。音楽家を志す者は何年もかけてそれらの型を学ぶのです。西洋音楽のドレミファに慣れた耳には、ドレミファに収まらない音階がありすぎてまったくもって歌えません。すこし前に日本でインドの音楽をフィーチャーした某ミュージカルが上演されましたが、実力あるプロのミュージカル俳優の方ですら、この独特の音楽を忠実に歌いきれてはいませんでした。それくらい西洋音楽とは違う世界をもっています。

音階も難解なら、キーも高いですねえ。歌えませんねえ。とほほ。でももう作ってしまったのでやっぱり載せますよ。ご参考までに、インターネット上で公開されている英語の歌詞から日本語の訳もつけました。

舞台はどうやら主人公の宰相バジラーオの城。泊まれるなら泊まってみたいですが、まばゆすぎて安眠できそうにないほど豪華絢爛なおうちです。そこへ、どんないきさつか芸妓的な立場でやってきたのがヒロインのマスターニ。バジラーオを前に歌と踊りを披露します。その内容とは? そんなマスターニを、最初は温かい目線で、そして途中からすこし微妙な表情で見つめるバジラーオの妻、カーシーバイの心情とは?

物語がミュージカルシーンのなかでも進行する、ひじょうに巧みな構成です。この曲が本編でどのように登場するのかたいへん楽しみです。動画はすこしカットされているようなので、本編ではここにはないシーンも出てくることでしょう。下記の歌詞はアルバムに収録されている原曲のものです。ちなみにアルバムはiTunesから購入することができます。全曲通じてバランスがよく、古典の味も充分に味わえるたいへん素晴らしい楽曲ですのでアルバムもせひ。


【語り部による導入】

なばとぅーに あーり あぷさら
天女が地上に舞い降りた

なばとぅーに あーり あぷさら
天女が地上に舞い降りた

あし すんだら さーじゃ さじゃぷな
天女は高貴な装飾品を身にまとっていた

あーり あーり あーり、 あーり がー あーり
そうやってきた、やってきた

けさまでぃ まあだ がじゅら
天女は髪に花の冠を乗せて

ろかちゃ なずら きるや てぃちゃわーだー
周りの者は誰も目をそらすことができない

あーり あーり あーり
そうやってきた

どぅにや ちー ぴゃーり とぅ
彼女はみなに愛される

あが なーり はるに が
彼女は鹿のように気高く美しい

あが らーにー すんだらー ははははー
彼女は美の女王

あーり がー あーり、 あーり がー あーり
そうやってきた、やってきた

あーり あーり
やってきた やってきた

【マスターニーによる歌の部分】

なざる じょ てり らーぎ め でぃわーに ほー がい
あなたから目を離せなくなり、私は狂おしいほどに恋に落ちました

でぃわーに はーん でぃわーに でぃわーに ほー がい
狂おしい恋に落ちたのです、そうです、狂おしい恋に落ちてしまったのです

ましゅふーる めーれー いしゅく き かはーに ほー がい
私の愛の物語はみなが知ることとなりました

じょ じゃぐ ね な まーに とー めいね びー たあに
誰も私を信じていなかったから、私は心を決めたのです

かはーん てぃー め でこー かはーん ちゃり ああいー
どこか別の場所にいたのに、ほらごらんなさい、私がたどり着いた場所を

けへて へ いぇー でぃわーにー ますたーに ほー がい
みながいっていますでしょう、マスターニは狂おしく恋に落ちたと

ましゅふーる めーれー いしゅく き かはーに ほー がい
私の愛の物語はみなが知ることとなりました

じょ じゃぐ ね な まーに とー めいね びー たあに
誰も私を信じていなかったから、私は心を決めたのです

かはーん てぃー め でこー かはーん ちゃり ああいー
どこか別の場所にいたのに、ほらごらんなさい、私がたどり着いた場所を

けへて へ いぇー でぃわーにー ますたーに ほー がい
みながいっていますでしょう、マスターニは狂おしく恋に落ちたと

でぃわーに はーん でぃわーに でぃわーに ほー がい
狂おしい恋に落ちたのです、そうです、狂おしい恋に落ちてしまったのです

ざはーむ えいさー とぅにー らがーやー
あなたは私の心に傷を負わせました

でぃわーに でぃわーに でぃわーに でぃわーに ほー がい
狂おしい恋に落ちたのです、狂おしい恋に落ちてしまったのです

まるはーむ えいさー とぅにー らがーやー
射抜かれたその傷に、あなたはこんなふうに薬を塗ったのですわ

るはーに るはーに るはーに るはーに ほー がい
だから私の魂は囚われたのです、囚われたのです、囚われてしまったのです

ぺへちゃーぬ めーれー いしゅく き あぶ とー
私の愛の証はいまや

ぺへちゃーぬ めーれー いしゅく き あぶ とー
私の愛の証はいまや

らわーに らわーに らわーに らわーに ほー がい
じっとしていることができないほど できないほど

ましゅふーる めーれー いしゅく き かはーに ほー がい
私の愛の物語はみなが知ることとなりました

けへて へー いぇー でぃわーに ますたーに ほ がいー
みながいっていますでしょう、マスターニは狂おしく恋に落ちたと

でぃわーに はーん でぃわーに でぃわーに ほー がい
狂おしい恋に落ちたのです、そうです、狂おしい恋に落ちてしまったのです

ましゅふーる めーれー いしゅく き かはーに ほー がい
私の愛の物語はみなが知ることとなりました

じょ じゃぐ ね な まーに とー めいね びー たあに
誰も私を信じていなかったから、私は心を決めたのです

かはーん てぃー め でこー かはーん ちゃり ああいー
どこか別の場所にいたのに、ほらごらんなさい、私がたどり着いた場所を

けへて へ いぇー でぃわーにー ますたーに ほー がい
みながいっていますでしょう、マスターニは狂おしく恋に落ちたと

でぃわーに はーん でぃわーに でぃわーに ほー がい
狂おしい恋に落ちたのです、そうです、狂おしい恋に落ちてしまったのです

【男声合唱】

さぶ ぬーる ぬーる さ びくら へー
あちらこちらに灯りがともっている

えーく とぅ ひ かやーろん め うとぅら へー
私にはあなたしか見えない

ばす じゅーむ じゅーむ じゅーむ じゅーむ じゃーた へー でぃる
私の心は休みなく踊り続けている

とぅ ますたーに へー とぅ でぃわーに へー
おまえは心酔しきっているのだ 心苦しいまでに

(Mastaniには「夢中である」「陶酔している」の意がある)

ぱーけざ はすてぃ へー てり とぅ ぬーらーに へー
おまえの姿は純粋そのものだ おまえは輝くばかりに美しい

さぶ ぬーる ぬーる さ びくら へー
あちこちに灯りがともっている

えーく とぅ ひ かやーろん め うとぅら へー
私にはあなたしか見えない

☆ひらがな歌詞PDFファイルのダウンロードはこちら☆


いかがでしたか? こうやってみるとなにかの呪文のようなひらがなの羅列ですね……。旋回するたびにふわっと広がるスカート、万華鏡のように映り込む群舞。このシーンだけでいったいいくらかかっていることでしょう。踊りについては、原則、振り付けは振付師が当日その場で役者やダンサーに振り渡しをするそうです。これを踊れといわれていきなりその場で踊れる役者やダンサーもすごいなあといつもいつも驚嘆するばかりです。

タイトルにもなっている”Deewani”(でぃわーに)という単語は、英訳だと”crazy”、”mad”、つまり「狂っている」というニベもない単語をあてられています。原語にはもうすこし美的というか、なにかに夢中すぎて、心酔しすぎて、そしていてもたってもいられない、たまらない心境になっている、というニュアンスが加わっているように思います。私もこの作品にそうとうディワーニー・ホ・ガイですけども。

またヒロインの名前でもある”Mastani”(ますたーに)も、単語としての意味は”intoxicated”、つまり「中毒になるほど夢中という状態」です。マスターニは静かな情熱を秘めた女性のようです。

歌にチャレンジしてみたい方は、ダウンロードできるひらがな歌詞のPDFファイルをつくりました。うーん、ぜひ上映中に小さな声で一緒に口ずさみたいところですが、難しいからサビだけかな……。

もうひとつ目を引く挿入歌、美女競演のPingaのひらがな歌詞もただいま作成中です。Pingaはほとんどがマラーティ語という地方語の歌詞なので聞き取れる単語が思い切り限定的で、かなーり苦戦しています! でもやりますよ!

投稿者: アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)

Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。