インド女子旅大特集 その3- 配車アプリUber活用体験

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Girls’ India 女子よインドを旅しよう


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「インド女子旅大特集 その3- 配車アプリUber活用体験」はこちらから

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昨年9月に出張でムンバイを訪れていたときのことでした。

スマートフォンをちゃっちゃっと操作して。

「あ、タクシーが来たので、ではこれで」

そういって去っていく彼女の颯爽たることといったら!

商業都市でありボリウッド映画の中心地であるムンバイでOLとして働いている日本人女性。大学卒業後すぐにインド現地採用で働き始めた彼女は、インドならではのさまざまな困難にぶつかり悩みながらも逞しく働いているようです。

彼女の年齢のころの私は小汚ないバックパッカーでしたので、こよなく愛してきた映画の街、その同じムンバイでまったく違う風景をみている彼女のなんと眩しく見えたことか。

そのとき彼女が使っていたのが、アメリカ発のスマートフォンの配車アプリUber(ウーバー)。いわゆる個人が自分の車を使って営業する「白タク」をアプリを通じて統括し、顧客のニーズと結びつける新しいマッチングビジネスです。規制が厳しい日本ではまだ東京都内の限定的な運用にとどまっているものの、世界中で、そしてわれらがインドでいま爆発的に勢力を伸ばしています。

日本では考えられないようなことが平気で起きるインドでは、女性の旅行者として困ることのひとつに移動の煩わしさがあります。

街にはいろいろな乗り物が走っています。数は少なくなりましたが田舎や下町では人力で動くサイクルリキシャ、オートリクシャと呼ばれる三輪タクシー、流しのタクシー、バス。バスは定額ですが、よほど慣れないと旅行者の乗りこなしは難しいでしょう。サイクルリキシャはがっつり移動の手段というよりもインドらしさの象徴として乗ってみたい乗りもので、おじいさんが身体を張って漕いでいたりしますので私は値切らずほとんど言い値で乗ります。


三輪タクシーのオートリキシャ。屋根はついていますがほぼオープンエアです。
三輪タクシーのオートリキシャ。屋根はついていますがほぼオープンエアです。
人力で走るサイクルリキシャ。いまや携帯で通話しながら走る!
人力で走るサイクルリキシャ。いまや携帯で通話しながら走る!

こちらはバス。人が溢れています。
こちらはバス。人が溢れています。

普通に考えれば、あらかじめ手配した旅行会社の車やホテルカーと呼ばれるホテルの車を利用すればよいのですが、いかんせん割高です。高級ホテルの車など、あれやこれやと税金が加算され、日本のタクシーよりずっと高額になります。2、3日の旅ならともかく何日か滞在するような場合、「高いなあ」と毎度思います。

気軽にちょっとそこまで出かけたい。そんなときはオートリクシャやタクシーを利用します。しかしこれらはかなりの確率で乗車賃をドライバーと交渉しなければなりません。メーター制が導入されている都市でも、旅行者が相手だと道が混んでいるだのなんだのと理由をつけてメーターでは行ってくれなかったりします。無理やりメーターで行ってもらうと、今度は不必要な遠回りをされたり。はたまた、ドライバーが道を知らないことなど日常茶飯事、道行く人に尋ね尋ねてやっと目的地に辿り着いた挙句、時間がかかったから余分に払え、などといわれたりします。

そういったやりとりもインドあるある体験のひとつとして多いに楽しめるといいなと思います。

しかし昨今はお仕事絡みで、貴重品や重たい書類やノートパソコンその他の大荷物を携行して、ビンボー旅行者には見えないお仕事服でいることも多いのです。いつかそんな身分になりたいものですが、いまのところ社用車なんてありません。毎回毎回、料金の交渉をし、ドライバーと喧々諤々し、無事に着けるのかいらぬ心配をし、単なる移動が大きなストレスになっているのも事実です。

まぶたに焼きついた颯爽たるOL女子の姿を思い浮かべながら、さっそく私もUberをダウンロードしてみました。

アプリを起動したら、まずは名前や携帯番号やクレジットカード情報などを入力しておきます。

翌日、外出の際にドキドキしながら初利用です。

配車リクエストを送る前。ピックアップポイントと降車ポイントを指定します。
配車リクエストを送る前の一例。ピックアップポイントと降車ポイントを指定します。

乗車地点を住所やGPS機能を使って指定、降車地点も同じように指定。「配車リクエスト」のボタンを押すと。

近くにいる契約車が地図上でどこにいて、何分で来られるかの表示。
近くにいる契約車が地図上でどこにいて、何分で来られるかの表示。

近くにいるUber契約車がすぐさま反応、何分でこちらの場所に着くという表示とともに、ドライバーの顔写真、車種やナンバーが表示されました。

小学生のころ、アマチュア無線で生まれて初めて世界に向けて応答を呼びかけて、誰かが反応してくれたときのようなトキメキを覚えました。思い切り話がそれていますが。タマ子嬢にまた昭和テイストといわれるでしょうが、いいんですトキメキは大事ですから。

ほどなくしてUber契約車が到着。ナンバープレートを確認して乗り込みます。記念すべき初Uberドライバー氏がどんな人だったか残念ながら忘れてしまいましたが、軽く「Hello」かなにか挨拶しただけでスーッと車は動き出しました。

ムンバイで市内を南北に大移動したときの乗車中の画面。現在地及び目的地にあと何分で着くかわかる。
ムンバイで市内を南北に大移動したときの乗車中の画面。現在地及び目的地にあと何分で着くかわかる。

アプリをみていると、GPSで自分がどこを通っているかリアルタイムで見ることができます。ドライバー氏はスマートフォンのナビゲーターアプリを駆使して迷うこともなく目的地着。クレジットカード決済なので「Bye」とだけ言って降車。

降車直後にメールで届く領収書。料金(111ルピー)、ルート入り。このときは3キロほどの移動でした
降車直後にメールで届く領収書。料金(111ルピー)、ルート入り。このときは5.5キロほどの移動

すぐにメールでルート地図入りの領収書が届きます。なんとびっくり、交渉して乗るオートリキシャやタクシーより場合によってはお安いのです。オートリキシャやタクシーに相場で乗れる地元の利用者には割高かもしれませんが、つねにいくらか高めの料金を支払わされている外国人旅行者からしてみれば、距離と時間で算出されるUberの料金はたいへん合理的でお得です。

しかも窓が閉まるきれいなエアコン車だったので、常に排気ガスを浴び続けるオートリキシャやシートのスプリングが飛び出しているような流しのボロタクシーより断然快適、ドライバー氏も紳士的でした。

以後、私はすっかりUberのヘビーユーザーとなり、今回のインド旅もデリー、ムンバイ、チェンナイとすべての街で利用しました。ムンバイだとちょっといい車種の設定があったりと、基本料金や選択できる車種に多少の違いはありますが、すべて同じやりかたで、一件を除き快適でした。

Uberの特徴として、降車後に乗客は必ずその乗車の5段階評価をします。そしてこの5段階評価の平均値がつねにドライバーのプロフィールとして乗客に開示されているのです。評価が水準を下回るドライバーは契約を解除されるそうです。この評価制度があるおかげか、かつてあれほどオートリクシャやタクシーのドライバーとやりあったのはなんだったのかというくらい、ドライバー諸氏はおしなべて紳士的で親切です。

問題となった一件は、私をネパール人と勘違いしたドライバー氏が、女性差別的・人種差別的発言を繰り返したうえに脅しの捨て台詞を吐いたため、降車後、任意のコメント入力欄にクレームを入れました。10分後にはマネジメントオフィスからお詫びの返信が届き、さらに詳細を返信したところ、翌日には丁重なお詫びとドライバーの質の向上を確約するメールが届き、さらに乗車賃が全額返金されていました。これにはちょっとびっくりしました。インドで「態度が悪い」と文句を言ってお金を返してもらったのは、実にこの18年間で初めてのことです。

さらに、今回の2015年12月〜2016年1月の利用時には、SOS Buttonという機能が追加されていました。アプリ上のこのボタンを押すとGPSの位置情報とともに緊急警報が地元警察に届く仕組みだそうです。これはほんとうに素晴らしい。

デリーでは数ヶ月前にUberドライバーによるレイプ事件が起きています。前述のようにほとんどのドライバーは紳士的なのですが、デリーでの事件のように万が一ということも考えると、この機能のもたらす抑止力と安心感は計り知れません。

Uberは世界各国で既存のタクシー業界や規制当局との攻防を繰り広げていたり、過去には事故時の保障を拒否した例もあり、いい話ばかりでもありません。ムンバイでも白タク参入を阻む州政府の規制といまもやりあっているようです。

ですが、乗車賃の交渉がいらない、現金がいらない、GPSでリアルタイムで移動している経路がわかる、降車直後に料金と通った経路がわかる、降車後に利用者がドライバーの5段階評価を必ずするので質の悪いドライバーが稀である、クレーム対応が早い、など、これまで挙げてきた利点は、どれも既存の流しのオートリキシャやタクシーにはありえなかったものです。加えて外国人としては、言葉がわからなくても日本語表示のアプリ上の操作だけですべてがこと足りるのはたいへんありがたいことです。

使いこなすためにちょっとコツが必要なのは、インドの場合、自分がいる地点の住所があいまいなことも多いので、まずピックアップ地点がはっきりわかるランドマークでないと行き違う可能性が高いことです。また目的地についても住所やナビに示された地図の場所が間違っていたりするのでぐるぐると迷うケースも多いです。

ピックアップについては、中級以上のホテルであればまず問題ありません。ランドマークが近くにない場所にいる場合、ひとまず配車リクエストを出し、ドライバーが応答したら、直後に「ドライバーに連絡する」ボタンを押すと電話ができるので、いまいる場所を伝える方法が確実です。言葉がわからなければ、近くにいる人などに頼んでドライバーに説明してもらうとよいでしょう。

「Uberタクシー、カミング、プリーズ エクスプレイン!(ウーバータクシーがくるから説明してください)」

こんな感じでスマートフォンを差し出せばよろしいようです。ちなみに、一応相手の顔を見て人がよさそうな相手を選びますが、持ち逃げされたことはありません。

なにを隠そう、私アンジャリ、ピックアップ時にそのへんの道ばたにいる人に場所の説明をお願いしたのは1度や2度ではありません(笑)。Uberのことは若い人はだいたいみな知っているので、みなさん親切に説明役をしてくれました。

目的地についても、場所がわかりづらい場合はレストランやお店であれば先方に電話し直接ドライバーと話してもらうなどの方法が手っ取り早いです。

現地のSIMカードが入ったスマートフォンを持っていれば通話料金が安いのでベターです。普通の旅行者にはここがちょっとハードルが高いかもしれません。とはいえ、海外ローミングサービスを使っても場所の説明に要する通話時間はだいたい1分間程度ですので、通話のみに限定してローミングを使うのもアリだと思います。

いかがでしょうか。たとえばデリーではメトロが開通しているので私も大いに活用しています。ただ乗り換えが意外と面倒だったり、最寄りの駅に着いてからも目的地まではまたオートに乗らなくてはいけなかったりします。そこでまたちょっと相場より高めの料金を払い排気ガスにまみれやっと到着したりすると、最初からドア・トゥ・ドアで運んでくれるUberタクシーのほうが便利だなあと思うこともよくあります。

インドを旅する女性の旅行者にとって、自由に移動できることや、より安心できる足を確保できるというのは大きなメリットだと思います。移動距離や同行者の有無や、そんなことを考慮しながら、Uberのような新しいサービスを使っていくのも一手ではないでしょうか。

Uberとよく似たOla!(オラ)というインド国産の配車サービスもあります。こちらもシェアを伸ばしています。まだ使ったことがないので、次回の渡航の際はぜひ利用して比較をしてみたいと思います!

冒頭の写真: ムンバイの街を走る2階建バスのダブルデッカーのルートマスター型車両。本家イギリスでは2005年にルートマスターが廃止され現在は観光路線のみの運行となっています。こちらは貴重な本物の現役バリバリのルートマスターです。

投稿者: アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)

Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。