インド女子旅大特集 その5 – お宿のコースは松・竹・梅

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「インド女子旅大特集 その1- 女子のための心得7か条」はこちらから
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「インド女子旅大特集 その4 – 彼女たちのリアル旅」はこちらから
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インドには、寝られればいい、そんなお宿もたくさんあります。国内の巡礼者のための無料の宿坊から、外国人のバックパッカー向けの安宿まで。かたや、「こちらどちらでございましょう?」というような、ゴージャスすぎてかえって安眠できない豪華絢爛宮殿ホテルもございます。
宿泊料金も、大部屋のドミトリーでベッド一台を借りる100円そこそこというものから、一泊で東京のワンルームマンションの一ヶ月分の家賃になりそうなハイエンドまでよりどりみどり。
選べるというのはよいことです。日本人としてインドを訪れると、そのときの懐具合と状況に応じて節約型とゴージャス型を行ったり来たりできる自由があります。私自身、ひとりなのか連れがいるのか、何日間なのか、目的はなにか、いろいろな条件を考えて宿を選びます。
■ 梅コース
不思議なことに、学生のときのように大部屋のドミトリーに泊まる気力はもうないと思っていたのに、いい加減中年となった昨今、妙にドミトリーがなつかしく思い出されることがあります。共同トイレや共同シャワーなど設備は多少不便ではありますが、宿のスタッフやほかの宿泊者と否応なく顔見知りになれる距離感や、入り口で不審者の出入りがないか見張る親父さんの硬派な優しさなど、安宿には安宿のよさがあります。当然、日本以外の国の旅行者もいます。おぼつかない英語で一生懸命話をして、ずいぶんと英語力を鍛えてもらった場所でもあります。
学生さんなど、節約旅行をしたい若い(若くなくても)女性には、こういったドミトリーがある安宿の、一番高い料金設定の個室を選んでみることをおすすめします。宿泊者が集えるようなロビーや食堂があるとなおよろしいです。プライバシーを確保しつつ、ほかの旅行者との接点を持つことができます。とくに北インドのデリー、バナーラス、コルカタなど主要な観光地にはこういった安宿が集まったエリアがあります。2016年現在、この手の安宿の個室は一泊1,000円以下くらいでしょうか。難点は、事前に予約ができない場合が多いことです。
■ 竹コース(並)
もうすこしランクを上げると、インド人のビジネス客や観光客向けの、インドローカル仕様のビジネスホテルがあります。日本のビジネスホテルとはだいぶ様相が異なります。とにもかくにも個室で、トイレとシャワーが部屋内にあります。1階のロビーとレセプションだけは小綺麗で豪華だったりしますが、部屋は狭く、設備もたいがい古く、エアコンの効きをよくするためなのか、建物内部を効率的に仕切るためなのか、窓がないか、あっても小さくて開かない、開けたら隣の建物の壁など、眺望はあまり望めません。
廊下は狭く、薄暗く、エレベーターは時代物、壁はあくまでも薄く、隣の部屋のテレビの音がダダ漏れ。テレビと電話とエアコンと温水シャワーといった、安宿にはない設備がある点がメリット。
スタッフはだいたいやる気がなく、与えられた職務のみを最低限こなします。気の利いたサービスなどないに等しく、それでもちゃっかりチップを要求されたりします。受付の親父さんたちは数人いてもたいして効率はよくなく、あくまでもだらだらと業務をこなします。
翌日の国内線があって一泊するだけとか、そんな理由以外ではたいして長居をしたい宿ではありません。旅行者としてみなさんが一番訪れるであろう首都デリーを例にとると、空港近辺にトランジットホテル街(昔ながらのホテル街と近代的なチェーンホテルが立ち並ぶAerocityがある)があるほか、エリアとしてはKarol Bhag(カロル・バーグ)、ニューデリー駅近くのPahar Ganj(パハール・ガンジ)などにこの手の宿が集まっています。
このクラスになると一室一泊2,000円〜5,000円程度、Booking.ComやAgoda.comといったホテル予約サイトからの予約が可能です。ただしホテル予約サイトは税抜き料金を表示していることが多いので、最終的にいくらになるかよく確認することと、写真と実物は往々にして違うということ(笑)を覚悟しておくといいと思います。また、宿に自前のホームページがあり、そちらでも予約を受け付けている場合は、そのほうが手数料分お安い設定だったりもします。
さて、今回ご紹介している女子3人旅ではどんなお宿に泊まっていたのでしょうか。
まずはデリーの拠点となった、ニューデリー駅近くの安宿街パハール・ガンジにある“Natraj Yes Please”(イエス・プリーズを名前にしちゃうんですね……)。お宿のサイトから直接予約フォームを送るか(英語)、シゲタトラベルさん(日本語可)にご依頼下さいとのことです。系列ホテルがいくつかありますが、女子旅ベテランのラニさんによると、Natraj Yes Pleaseが一番新しくて綺麗だそうです。
宝石やブロックプリントなどで有名なジャイプル。街並みもあちこち素敵ですが、ヘリテージホテルと呼ばれる、かつてのお屋敷をホテルに改装したお宿も素敵です。
メンテナンス具合によっては設備は最新とはいかず、水周りなど少々不便な点もありますが、豪華絢爛な宮殿ホテルよりもしっとりと落ち着いた居心地のよさを味わうことができます。こちらはジャイプルのKrishna Palace(クリシュナ・パレス)。ツイン一泊1,750ルピー(3,200円程度)。
プシュカルという砂漠の小さな町では梅コースのお宿だったそうで、3人組のうち節約旅行にはあまり縁のないマダム・レシュミ、「直接横たわるには少々ためらうシーツだったので、マダムは生まれて初めて寝袋を体験しました。大活躍でした」とのこと。冬の北インドは寒いので、もし梅コースに挑戦する場合、寝袋は持参したほうがいいかもしれません。
■ 竹コース(上)

チェックインの際、マダムが「すてきな服ねえ」とどこか含みのある褒め方をするのでなにかと思いきや、私が来ていた服が、ベッドカバーと同じ柄でした。ラジャスターン州の伝統柄です……。クリックすると拡大しますので確認してみてください(笑)
竹コースの中級ホテルには、最近はアッパーミドルクラスの家庭が自宅を改装したB&Bや、インド感ゼロの斬新(?)なブティックホテルなども増えてきました。巷で流行りの民泊サイトairbnbから探すという選択肢もあります。一泊6,000円から10,000円程度の価格帯が多いようです。
女子旅から離れてアンジャリ旅になりますが、2015年末にデリーを訪れた際は、品のよい熟年夫婦が経営するそんなB&Bスタイルのお宿に泊まってみました。住宅街の、旅行者にとってはアクセスがよいとはいえない場所にありましたが、普通のホテルとは違い、オーナー夫妻との会話を通じてアッパーミドルクラスのインドの人の考え方などに触れることができて有意義でした。
「最近の映画はどうもねえ。若い人には面白いのかもしれないけど」と敬遠するマダムに、朝ごはんの席で最近のインド映画の魅力を1時間以上も語りまくり、気がついたらお昼近く。私があまりに口説くので、オーナー夫妻はついにその夜Bajirao Mastaniを観に出かけました(笑)。
■ 松コース
さていよいよ、松コースのホテルです。
日本から、格安ではないそこそこの料金のツアーで滞在するのがこのクラスのホテルです。アメリカ系の大型チェーンホテルなどは、さほどインド感を感じずにごくごく快適にすごすことができます。料金もだいたい世界共通に、一泊一室最低でも30,000円くらいから。デリー、ムンバイ以外の都市ではもう少しお安めです。また一時期、急増する海外からの観光客の需要に追いつかず、デリーやムンバイのこのクラスの高級ホテルが高騰し、一泊10万円円近くととても泊まれない額になっていたことがありますが、ここ数年は落ち着いています。
女子旅の3人組は賢い節約旅でもあったので、楽しみにしている方すみません、アンジャリの過去の奮発ホテルからご紹介いたします。
インドには、クレアとかフィガロジャポンとか、私も名前だけは知っている(笑)おしゃれ女性誌が特集していそうなリゾートホテルもあるんです。特にケーララ州はアーユルヴェーダ発祥の地ということもあり、この手のリュクスな(!)滞在型ホテルがたくさんあります。一泊一室30,000円くらいですが、こういうホテルは周りに気軽な売店などがなく、なにもかもが割高なホテル内料金になります。ま、出費は覚悟して楽しむに限ります。
そんなに冒険はしたくないけれどあまり高すぎるホテルも躊躇するという、現実路線の女子旅におすすめしているのが、インドが誇る高級ホテルチェーン・タージグループの価格を抑えたチェーン、Vivanta by Taj。主要な観光都市にはだいたいあります。
古いホテルを買収していることが多いので設備は古めかしいものの、部屋の広さや調度品が心地よい。うやうやしいマハラジャ待遇ではないものの、サービスもテキパキと行き届いています。ホテルによって多少のばらつきはありますが、今まで宿泊したVivanta by Tajはほとんどが「手ごろ」と称するにふさわしい、バランスのよさが魅力でした。
インド女子旅デビューでデリーに滞在するならば、富裕層マダムの御用達カーン・マーケット近くのVivanta by Taj Ambassadorをおすすめします。リノベーションが済んでいない部屋もあるため設備に当たり外れがあったり、タージホテルが誇る圧巻の朝食ブッフェの規模がすこし寂しかったりと、ところどころで1ランク落ちます。が、時期によって、あるいは早めの予約で一室一泊10,000〜15,000円程度で宿泊でき、メトロ駅も近く交通アクセス良好、歩いていける場所にショッピング・スポットがあるという、女子旅にはちょうどよいホテルだと思います。
いかがでしたか? いろいろな選択肢があるインドのお宿。あまりお金をかけなくても素敵なホテルはありますし、お金をかければかけたで日本では味わえないめくるめく世界を体験できます。なんとなーくイメージが湧く手助けになれたら幸いです。
インド女子旅シリーズはまだまだ続きます!
トップの写真: クリシュナ・パレスにてくつろくマダム・レシュミ。れっきとしたマダムですが意外とタフです。