タミル語映画 “Jil Jung Juk”

◆ Jil Jung Juk(タミル語映画)上映会のお知らせ ◆

日時:
2月13日(土)イオンシネマ海老名 14:00から
2月14日(日)イオンシネマむさし村山 14:00から
* 通常の劇場公開作品の上映ではないのでイオンシネマのウェブサイトには詳細はありません。

チケット(支払いは当日窓口にて):
大人前売り2,000円、当日2,200円(いずれもFacebookページに印刷可能な割引クーポンあり)
子ども(5〜15歳):1,000円(割引なし)、5歳未満は大人と同席で無料

予約はこちらから

主催: Madras Movies Japan


長らく、南インドの映画スターといえば「おっさん」というのが私のイメージでした。

世界をマーケットに意識し始めて久しい北インドのヒンディー語映画界ボリウッドではすでに「アナタなに人ですか」と聞きたくなるような、一見、西洋風の俳優が銀幕を席巻しています。しかし、インドの映画界はボリウッドだけにあらず。南に下ればタミル語、テルグ語、カンナダ語、マラヤーラム語と南インド映画の広大なる世界が広がっています。

「ムトゥ 踊るマハラジャ」のラジニカーント(Rajinikanth)は南インドのタミル語映画界のスーパルスターです。そして各映画界に当然のように大御所やスターが存在します。

そのいずれもが。

口ひげ・しもぶくれ・しゃくれ顎。オプションとしては、腰巻でのしのし歩く。強烈なおっさん感。

一度、真面目にお聞きしたい。その口ひげは蒸れないのか。

ラジニカーントは王道として、もうひとり、タミル語映画の大御所といえば、カマル・ハーサン(Kamal Haasan)がいます。踊りをスターオーラで無理くり押し切るラジニカーントとは違い(だけど私は無条件ですきです)、カマルは古典舞踊バラタナティアムの名手で、同じおっさんでも優美さと色気があります(テルグ語映画のものですが、カマルの古典舞踊はこんな感じ。素晴らしい!)。あと私の乏しい知識でも見分けがつく南インドの俳優としては、同じくタミル語映画の童顔のヴィジャイ(Vijay)という超絶ダンスがうまい人気俳優がいますが、童顔ながらもしっかり口ひげだったりして、やっぱりそこはかとなくおじさん感を演出しています。その他、マイケル・ジャクソンのスリラーばりの踊りで日本では「ゴリマー」という愛称で呼ばれ、一部で有名なテルグ語映画のチランジーヴィ(Chiranjeevi)など、行けども行けどもおっさんばかり。

若い男はいないのか! 銀幕で観たいのはおっさんじゃない、若い男だ!

そんな荒れた私の心に、南インド映画日曜研究家・安宅直子さんをゲストに迎えた「南インド映画入門講座」のお知らせが、すぅーーーっと入り込んできました。主催は、2013年からインド映画音楽のDJイベントなどを開催してきた印度映画広報委員会中野支部さん。「なぜ南はおっさんなのか」という長年の命題を胸に抱え、なにかに導かれるように、西麻布の某所にて行われた当該講座に、おっかなびっくり参加してきたのです。

司会の相原理歩さん(左)と講師の安宅直子さん(右)。テンポよい進行で息ぴったり。
司会の相原理歩さん(左)と講師の安宅直子さん(右)。テンポよい進行で息ぴったり。

スライドに豊富な映像や画像を交えた資料を使ってのレクチャーは、楽しく、わかりやすく、講師の安宅さんの溢れんばかりの愛をこれでもか! と感じる大変素晴らしいものでした。ひと言、楽しかった!

そして私にとって一番の収穫は、南インド映画界にもヤングな俳優さんたちがいるということです。長年、おじさんたちが牽引してきた映画界にも、ぼちぼち若手の実力派俳優たちが食いこみはじめているというのです。

いくつか見せていただいた映像にも、おお、いますいます若者が。

このままこれだけで販売できてしまいそうな素晴らしい資料。
このままこれだけで販売できてしまいそうな素晴らしい資料。

南インドらしい原色の色彩に、いま風のヤング。そう、こういうのなら私もすき!

そういえば、最近新たなインド映画自主上映団体に名を連ねるようになったMadras Movies Japanさんが近々上映するタミル語映画も、南っぽくない薄めの俳優が主演しています。

とーっても長い前置きでしたが、本日の本題はここです(笑)。

“Jil Jung Juk”(じる じゃん じゃく)。おっさんではない、南インドはタミル語映画界の中堅俳優、シッダールト(Siddharth)主演・プロデュースの新作です。

どうやらジル、ジャン、ジャクという3人の男性がメインキャストとなるコメディ映画のようです。ようです、というのはインドでも2月12日(金)公開のため、まだ内容がわからないからです。だからこんなに話をおっ広げて、かなり遠めところからやっとのことでこの作品をご紹介しているわけです。ああ、知らない分野の、未見の映画を紹介する難しさよ。

そしてこのシッダールト氏。口ひげはあるけども、しもぶくれでもしゃくれ顎でもない! ちょっと憂いを含んだ男前じゃあありませんか!

しかも彼は、昨年12月にタミル映画の本拠地であるタミル・ナードゥ州チェンナイを襲った大規模な洪水の際、自らの家も大きな被害に遭いながら、ツイッターで助け合いを呼びかけ、先頭に立って被災者の救援にあたっていました。

私も洪水のあとチェンナイにおり、新聞やニュースで彼の活動を知りました。被災直後の憔悴しきった様子や、俳優ではなく等身大の善良な若者が純粋な気持ちで支援を訴えている様子に心を打たれ、いつかこの人の作品を観てみたいなと思っていたら、まさにこの作品の公開が控えていたのでした。同12月の公開を予定していましたが、洪水被害の影響でいままで延期になっていた経緯があります。

そんな素顔よりもずいぶんとやんちゃな役ぶりを見せてくれる予告編はこちら。ウガンダって聞こえるんですけども、アフリカが舞台?

なぜかボリウッドの帝王3カーンのうちのひとりサルマーン・カーンの紹介で始まる挿入歌”Shoot the Kuruvi(鳥を打て)”。八の字眉毛で「オマエのための曲だぜ My Love、チュッ」って。お、お、おばさんけっこうクラクラ、きちゃいました……。


そんなわけで、南インド映画の世界もいまやおじさんだけでもないことがわかり、レクチャー終了後、

「私、これならいけます、こういうのすきです!」

と喜び勇んで安宅さんに話しかける私。これを機にもっと南インド映画も観たくなってしまいましたと興奮気味にお伝えする私の頭上に、安宅さんの静かな声がお告げのようにかぶさります。

「もうすこしすると、こちらもね、よくなってくるのよ。ウフフ」

こちらってどちらでしょう、えーと、まさか、いややっぱり、そちらでしょうか。

実はですね、スカした若者のイカしたふうなのは、ちょっとばかりくすぐったくもあり、なぜか、腰巻の頼れる中年以上のおじさんワールドが懐かしくなったりもし、やっぱり、えーと、うーん。

つまり、なにがいいたかったかといいますと、”Jil Jung Juk”、ぜひ観にいってくださいね。そしてよろしければ、おじさんワールドにもぜひおいでくださいませ。エヘン。

(安宅さん、相原さん、ありがとうございました!)


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* 安宅直子さんも執筆されている永久保存版の名著「インド映画完全ガイド マサラムービーから新感覚インド映画へ」(世界文化社刊)絶賛発売中です!

投稿者: アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)
Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。