謹賀新年・南インドより愛を込めて

あけましておめでとうございます。広報タマ子嬢より公私にわたって「記事を更新しろ」というプレッシャーが朝に夕に飛んでくる新年です。

さて私アンジャリは毎年恒例の年末年始のインドに来ております(年末年始以外も最近は海外=インドに近いのですが)。今回、「そうだ、マドゥライいこう!」と突如思い立った南インドの街マドゥライまで、デリーから2,600キロほどを南下してまいりました。年越しはマイソールという街からマドゥライに向かう夜行列車からでした。

南インド最大のミーナクシ・アンマン寺院へ

寺院に向かう途中の店先にて。朝は「コーラム」と呼ばれる吉祥文様を家やお店の前に描く
寺院に向かう途中の店先にて。朝は「コーラム」と呼ばれる吉祥文様を家やお店の前に描く

ずっと行きたいと思っていた場所があります。インドには聖地があちこちにあり、どこが最大で一番神聖なのかは人それぞれです。私は世俗にまみれきった人間なので、ピュアすぎたりスピリチュアルすぎたりする事象はたいへん苦手なのですが、インドには聖と俗が絶妙に入り混じった場所があり、すこしぐらい邪でも腹黒くても受け入れてくれる懐の深さがとても心地よいのです。

そんな場所のひとつに、南インドタミルナードゥ州マドゥライにあるミーナクシ・アンマン寺院があります。

2000年、2001年と2年連続で年末年始のツアーの添乗員としてこの寺院を訪れたことがあります。まだ若く未熟な添乗員だったのもあり、そのときは人ごみでお客様を見失わないように、そして英語ガイドの込み入った説明をきちんと通訳できるようにということで頭がいっぱいで、寺院をゆっくりと堪能する余裕などまったくありませんでした。

10数年経ってなぜかこの寺院のことが頭に浮かび、今年はこの寺院から一年を始めようと思い立った次第です。

商店の連なる先に見えてきた西門。「ゴプラム」と呼ばれる塔が特徴的な南インドの寺院です
商店の連なる先に見えてきた西門。「ゴープラム」と呼ばれる塔門が特徴的な南インドの寺院です

新年の参拝客に混じって中へ

インドの寺院はどこもそうですが履物は脱いで裸足で入ります。ここはバッグやカメラも持ち込みが禁止なのですが、携帯はOKという厳しいんだかゆるいんだかわからない決まりでした。携帯持ち込み料50ルピー(約90円)と書かれているものの、誰も払っているようには見えません……。

まずは東門から中へ。時計回りにぐるっと歩いていくと南門が見えます
まずは東門から中へ。時計回りにぐるっと歩いていくと南門が見えます

巨大な寺院(ガイドブックによると230メートル×260メートル四方)なので、一周するだけでもけっこうな距離になります。外門を入り、内部へ入る門までほぼ一周。家族連れがのんびりくつろいでいたりします。

暑すぎず、すごしやすい季節とはいえ歩き回ると汗ばむ。木陰でのんびりおしゃべりする参拝客
暑すぎず、すごしやすい季節とはいえ歩き回ると汗ばむ。木陰でのんびりおしゃべりする参拝客

寺院は東西南北に4つのゴープラムをもっています。それぞれのゴープラムには無数の神々と、祠と、それを彩る様々な装飾が施されていてみごととしかいいようがありません。

気の遠くなるような数の神々と装飾
気の遠くなるような数の神々と装飾

境内のあちこちに小さな祠があり、龍神ナーガや学問・商売の神様ガネーシャなどたくさんの神様が祀られています。初詣なので私も見つけたものはすべてお参りしました。お作法はよくわからないので前の人の真似をして。

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一周してやっと内部への入り口から中へ入ると、ホールには大きなナンディ(牛)像があります。ナンディはシヴァ神の乗り物なので、ナンディいるところには必ずシヴァ神がいます。その先の本殿には異教徒は入れませんが、本尊であるシヴァリンガが安置されているのを少しだけ覗くことができます。

午前中に訪れたらこのホールに光が降り注いでいて、なんとも厳粛な雰囲気でした。私のような信仰心の薄い者でもなにかを感じることができる、そんな場所です。

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本殿を囲む外廊は1000 Pillar Mandapam(千柱堂)と呼ばれ、みごとな彫刻が施された柱がずらっと並んで壮観です。

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いちいちグッとくる柱の彫刻の数々。ずっと眺めていても飽きません。

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ふと下を見ると床にも装飾が施されていました
ふと下を見ると床にも装飾が施されていました

こんな荘厳な雰囲気で、強力なパワースポット的存在として人々に畏敬の念を抱かせておきながら、たとえば参拝の列に横入りする輩がいてそれを周囲がつまみ出していたり、供物売りに値切り交渉をして高いの安いのとやっている参拝客がいたりと、人間味溢れるやりとりがあちこちで繰り広げられているのが、この寺院の魅力ではないかと思ったのでした。

夜のミーナクシ・アンマン寺院を再訪

東門の向かいには、やはりこれも古い寺院をショッピングモールとして使っている建造物があります。夜、再び訪れてみると、洩れ出る照明になんとも抗いがたい雰囲気があります。

ミーナクシ・アンマン寺院自体はその創建は8世紀、現在の形に完成したのが16世紀とのことで、このショッピングモールも古さでいえば同じくらいのようです。

外側からも柱や外壁の彫刻が素晴らしいと思いましたが、内部に入ってびっくり。こんなところで商売してるの! と思わず叫びたくなるような、遺跡をこんな風に利用してよいのだろうかと一瞬思うような、そんな佇まい。入口の両サイドには巨大なシヴァ神やカーリー女神が鎮座していて、ひっきりなしに誰かが来ては祈りを捧げて立ち去っていきます。

ナタラージャ(踊るシヴァ神像)の奥にお店が普通に営業している
ナタラージャ(踊るシヴァ神像)の奥にお店が普通に営業している
反対側にはカーリー女神が大迫力で悪魔を踏みつけている
反対側にはカーリー女神が大迫力で悪魔を踏みつけている
えらく日常的なものを売っていらっしゃいます
えらく日常的なものを売っていらっしゃいます

入口には普通に台所用品屋さん。すごいところで日用品を売っています……。

門前町にはたくさんの土産物屋や神像、サリー、日用品を売る店が出て、夜22時ごろまで賑わっていました。

古いスピーカーから少々割れ気味に聞こえてくる宗教歌。気持ちのよい夜風に乗ってふと飛んでくる、誰かの髪に飾られたジャスミンの香り。ああ、ここは特別だなあとしみじみ感じ入ります。

この南インド最大のヒンドゥー寺院にやって来ることは特別なことであっても、信仰とは、日常と隣り合わせのものなのだと思います。家族でお参りして、門前町で夜店を冷やかして、疲れたら座ってフルーツジュースやコーヒーを一杯。

門前は車両通行禁止なので、牛もくつろいでいます
門前は車両通行禁止なので、牛もくつろいでいます

腰をおろして、道ゆく人を眺めて、私もとても心安らぐ時間をすごさせてもらいました。
さあ、新年にふさわしい幕開けです! 本年もどうぞよろしくお願いいたします!

Post Author: アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)
Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。