南インド映画祭「オッパム 〜きみと共に〜」(Oppam) 観てきました!

南インド映画祭、東京は本日5/11(木)がついに最終日、大阪は明日5/12(金)まで。いよいよ残り少なくなってまいりましたよ。
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いやー、好きだモーハンラール。今回の南インド映画祭、唯一のマラヤーラム語作品「オッパム 〜きみと共に〜」(Oppam) よかった!

南インド・ケーララ州のマラヤーラム語映画界モリウッドといえば、そう、われらが配給作「チャーリー -Charlie-」のお膝元でもあります。

そのモリウッドで長年、「ヒーローといえばこの人」を背負ってきた大スターが2名います。ひとりは「チャーリー -Charlie-」主演のドゥルカル・サルマーンの父マンムーティ、そしてもうひとりが本作の主演モーハンラール。東の高橋秀樹と西の西田敏行的な二大巨頭です(東西はなんとなくつけただけ)。

本作と同じサイコスリラー的な「Drishyam」(2013)で、家族のために完全犯罪を完遂するクールな親父を演じたモーハンラール。緑の葉っぱから顔を出す小動物のような顔面がいろいろな意味で衝撃的で、ラストの秀逸なカメラワークがゆっくりと追っていく鉄の親父っぷりに最高にシビれました。

“Drishyam”(2013)のビジュアル。おっさんなのに衝撃の可愛らしさ、そして内容はサイコスリラーという

日本人的なイケメン枠ではまったくないと思われますが、この方はです、めっぽう、かっこいいんです。やっとやっと最近、なぜ彼が長年にわたりケーララ人の魂のスターなのか分かってきました。




ストーリー

高層マンションの駐車場で働く盲目の男ジャヤラーマン(モーハンラール)は、その優れた感知能力で、故郷の村でも都会の働き先でもみなに一目おかれ、頼られている。マンションの住人のひとり、元最高裁判事クリシュナムルティ(ネドゥムディ・ヴェヌ)はとくにジャヤラーマンを信頼し、世間から隠すように寄宿舎に入れているひとり娘ナンディニとの連絡役や、奇妙な遠方への外出にはいつも彼を伴うのだった。

未解決の殺人事件をまとめていた女刑事ガンガーは、一連の事件の被害者が過去のとある事件に関わった関係者ということに気づく。一方でクリシュナムルティも現役時代に判事として有罪を言い渡した人物が関係者に復讐をしていると気づき、次は自分の番がくると命の危険を感じていた。これまでの奇妙な外出の際、行き先も目的も尋ねなかったジャヤラーマンに、ある日クリシュナムルティはその理由を話し始めた。

高層マンションが結婚式の出入りで賑やかな日、クリシュナムルティは復讐者の手にかかってしまう。様子を見にクリシュナムルティの部屋を訪れたジャヤラーマンが第一発見者となったのだが、現場にはまだ犯人が潜んでいた。ジャヤラーマンと犯人はもみ合いになり、犯人は結局、逃走してしまう。盲目のジャヤラーマンには犯人の顔が見えていなかった。一族すべてを根絶やしにしようという犯人は、クリシュナムルティが安全を願い遠くにやっていたナンディニにも手をかけようとするのだった。

みどころ

「盲目のヒーロー VS 復讐に燃える極悪犯」の対決です。火曜サスペンス劇場の豪華キャスト劇場版です。主人公には見えていないモノが観客には見えていて、「ああ! ああ!」とジリジリしながらいったいどうなっていくのか手に汗握ります。

冒頭の詩の朗読のような復讐者のテーマがめちゃくちゃカッコよかったです。この曲(?)はクライマックス前にも流れて雰囲気を盛り上げました。

お話はひじょうにシンプルでして、まあだいたい最後は悪い奴をとっちめるわけですが、インド映画の定石「結末が分かっている物語の、その過程を魅せる」を、伏線の張りかたや個性的な俳優陣をフル活用して存分にやってくれています。

マラヤーラム語映画は脚本のよさに定評があり、こういったサスペンスドラマになると抜群のセンスを誇ります。前述の「Drishyam」(2013)は実に3言語、テルグ語版、カンナダ語版、ヒンディー語版とそれぞれの映画界の俳優を起用し、それぞれの地域のローカル色も取り入れたリメイクが製作されました。

そういった脚本の妙を楽しみつつ、やはりいつも楽しい脇役陣にも魅せられますね。

マラヤーラム語映画界はボリウッドやタミル語映画界と比べると小規模で、何作も見ていると同じ俳優さんがここにもあそこにも登場していたりするのが楽しいのです。ちょっと大げさにいうと、主演のスターだけが変わって残りの俳優陣はなんとなく同じ、という感じでしょうか。それでいて飽きないのは役者の役者魂ゆえ。

本作にも「チャーリー -Charlie-」に登場する俳優が何人か顔見せしていて、日本一のチャーリーオタクとしては「きゃーっ! ロマンチストの老人クンジャッパンが元判事!」、「あの漁師が血気盛んな警官!」など、知った顔があるだけでテンションがあがりました(こうやってダダハマりしていくのです)。

チャーリーの恋する純情老人はシリアスな元最高裁判事に

冒頭に一瞬だけ登場した駐車場の小間使いの少年は、「チャーリー -Charlie-」では友だちの女の子を悪の手から助けようとする少年を演じていたチェタン・ジャヤラル(Chethan Jayalal)。昨年は「チャーリー -Charlie-」でヒロインの兄を演じていたトヴィノ・トーマス(Tovino Thomas)主演の「Guppy」(2016)で準主演し、揺れ動く思春期の少年をみごとに演じていました。

その時期にしかできない役を演じる子役は成長を追っていくのが楽しみです。

本作で元判事の娘として前半はモーハンラールとのほのぼのシーンを見せてくれた少女も、インド映画の子役にありがちなたどたどしい台詞や分かりやすい可愛らしさではなく、低めの声でしっかり「演技」をしていてよかったです。

マンション付きのメイドとして働く色っぽいバツイチ女性、警官の制服がとても似合う女刑事、マンション駐車場で働くうだつの上がらない仕事仲間たち、それぞれの個性やサイドストーリーもほどよいアクセントとなっています。それぞれの小さなエピソードをちょいちょい挟んできながらもとっ散らからないというのがとても上手い。

こんな美形のメイドがマンションにいたら昼ドラが何シリーズもできそう
制服萌えの女刑事。最近ちょくちょく見かける女優さん

今回は盲目の役ですし、渋い演技のまま通すのかと思ったモーハンラールも、ここぞというところで腰布たくし上げキリッ! というキメかたをしてくれて満足です!

本作も他言語でリメイクされるかもしれませんね。

予告編はこちら


5/27(土)〜6/2(金)、ユジク阿佐ヶ谷にて上映決定!
インド映画「チャーリー -Charlie-」もどうぞよろしくお願い致します。

公式サイトはこちら

さっくりどんな映画か知りたい人はこちらをチェック!
“チャーリー -Charlie-“Naverまとめ


アンジャリ、ブログはじめました
人生に必要な知恵はすべてインドから学んだ -印流楽しいこと案内人、インドで食っていこうと奮闘なう-

投稿者: アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)
Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。