“Padmaavat”の基礎知識☆ロマンス小説家・吉咲志音 × Masala Press代表アンジャリ

封切りが迫ってきた待望の歴史大作“Padmaavat”。日本でもインドの封切りと同時上映されます!

なぜそんなことができるかという事情と上映場所・申し込み方法は前記事をご参照ください。

歴史大作”Padmaavat”日本上映1/25から


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そしてきっと皆さんが心配しているのは英語字幕しかないということではなかろうかと。

大丈夫、その不安、Masala Pressが力技で解消します!

史実やエビデンスなど理屈に弱いMasala Press代表アンジャリの強力な助っ人として、本日はロマンス小説家・吉咲志音(よしざき・しおん)さんをお招きしました。

ん? なぜインド史にロマンス小説家? とお思いのそこのアナタ。

吉咲センセーはもともとはヒンドゥー教美術を大学院で研究などしていた堅物で、いまや伝説にもなっているインドの神様解説サイト“天竺奇譚 インドの夜風に吹かれましょう”を学生時代に開設してはや20年あまり。

西洋美術が宗教と切り離せないのと同じく、インド美術もどうしても神様とがっつり取り組むことになります。そしてインド神話というのはじつに自由に、荒唐無稽にも思えるようなお話に満ち満ちていて、そんなドラマティックな神話に慣れ親しんでいるうちに……、いつの間にかロマンス小説にハマっていて、気づいたら作家デビューされていたという人物。

インドの歴史大作を語っていただくのにこれ以上ない逸材!

昨年11月に上梓したばかりの、古代インドを舞台にしたヒストリカル・ロマンス小説”月の帝王と暁の聖花”(ハニー文庫刊)は、研究畑出身者が本気で創作するとこうなるという見本のような緻密なヒストリカル(&官能も!)小説。電子書籍版も発売され快進撃が続いています!

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Padmaavatの舞台とは

さていよいよ本題です。まずはこの図解をチラッと眺めておいてくだされ。

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アンジャリ: さっそくですがセンセー、この作品は、史実に基づいた物語、なんですよね?

吉咲: そのようです。14世紀の西インドの史実を元に16世紀に書かれた有名な物語”Padmavat”を映像化した作品だと思われます。

アンジャリ: インドの人にはよく知られた物語ということですよね。日本人には馴染みがないので、ざっくりレクチャーお願いします!

吉咲: まず、現在のラージャスターン州にチットールガルという都市がありまして、そこは9世紀から16世紀までメーワール王国という国の首都だったんですね。

アンジャリ: 地図で見るとこのへんですね。インド広いな。というかGoogle地図、インドの地名の”R”を伸ばす音でカタカナ表記しないでほしい、マヌケすぎる。

ラージャスターン州といえば広大な砂漠と豪華な装飾品や調度品に囲まれた王族の土地というイメージがあります。日本でも公開されたボリウッド作品”pk ピーケイ”(ここをクリックで公式サイトへ)で最初にPKが降り立つのもラージャスターン州の砂漠でした。

吉咲: そうそう、メーワール王国というのは、勇敢で誇り高いクシャトリヤ(士族階級)として知られるラージプート族の国なんですよ。

物語“Padmavat”では、そのメーワール王国に14世紀に生きた王ラタン・シンと王妃パドミニがまず重要な登場人物となります。

アンジャリ: 予告編に出てきた美麗なカップルですね。

吉咲: はい。物語では、王妃パドミニはシンガル王国(現在のスリランカ)から嫁いできます。

というのも、幼いころからシンガル王国の姫君のそばにおしゃべりなオウムがいたのですが、姫君の父王の命令で殺処分されそうになり、逃げたところを捕らわれ、人手を渡ってメーワール王国のラタン・シンのもとにやってくるんですね。

そのオウムが姫君の美しさを喋るものだから、ラタン・シンはどうしてもその姫君に会いたくなり、シンガル王国まで遠征します。

アンジャリ: 王様意外とロマンチストというか、メーワール王国からスリランカってめちゃくちゃ遠くないですか。

3,000キロ超えてます……

吉咲: まあ王族ですからね。ロマンスのためにはそのくらいやるんじゃないでしょうか。

このあたりは史実というよりも後年創作された伝説に近いようですけれど。

ともあれ、実際に姫君に会って熱烈に彼女に恋してしまったラタン・シンは、あの手この手で姫君を振り向かせようとするものの、しくじって命が危うくなったりもしつつ、最終的には姫君パドミニをメーワール王国まで連れて帰ることに成功します。

アンジャリ: そしてめでたく結婚、と。

吉咲: ところが、不正を働いてラタン・シンにクビにされた家臣が逆恨みをしていまして。

腹いせに、同じころ北インド一帯を強力に支配していたハルジー王朝のスルターン(イスラーム教世界の”君主”)・アラウディン・キルジー「旦那、メーワール王国の王妃はたいした絶世の美女らしいですぜ」と吹き込むんですねえ。

(注: ハルジーもキルジーもローマ字だと同じKhiljiという綴り。西方とインド大陸との発音の違いによりカタカナ表記にも揺れがある)

アンジャリ: ああ、いつの世もそういう人、いますね、逆恨み野郎。

ちなみにハルジー朝の当時の勢力はこんな感じ。というか、この図だとメーワール王国飲み込まれてますやん。

Wikipediaより拝借。緑部分がハルジー朝の勢力範囲。

吉咲: それでアラウディン・キルジーは、絶世の美女という評判に抗えず、ラタン・シンに頼むんです。

ア「奥さん見せてよ。ちょっとだけでいいから」

ラ「だめだ」

ア「まあまあ、そういわず」

ラ「……じゃあ湖(鏡)に映った姿なら」

アンジャリ: あ、水に映る姿って、この監督の2015年の前作“Bajirao Mastani”(バジラオとマスターニ)でも出てきたんですよ(興奮気味)。

宰相の妻に夫の姿を見せるために瓶に水を張って、そこに反射した離れた鏡の宮殿にいる夫の姿が白い布に映るという展開で。

インターネットなんてもちろんない時代、ずいぶん典雅なことしますよね。

吉咲: このへん、どのように映像化されているか楽しみなところですね。それで案の定、アラウディン・キルジーは王妃パドミニのあまりの美しさにひとめぼれ。

アンジャリ: 分かる気もするけどそれって横恋慕じゃないですか。人の奥さんになにしてるんですかね。

古咲: まあラタン・シンも実は第一夫人がいたりしますから。

アンジャリ: うわ、ドロドロな大奥ありそ。

吉咲: それで、アラウディン・キルジーは「王妃をくれ」とチットールガルまでやってきて、パドミニを手に入れるために隙を見てラタン・シンを捕らえ、デリーまで戻って彼を幽閉するんです。

パドミニは家臣の手助けでなんとか夫を取り返すのですが、今度はアラウディン・キルジーが戦闘モードでチットールガルに攻め込んできます。

アンジャリ: 美女のために、戦、するんですね……。なんだか世界中にそういう話がありますよね。普遍。

吉咲: チットールガル城というのは現在も観光地として有名で、堅牢な城壁に囲まれた都市なんです。

アンジャリ: ラージャスターン州のあたりってそういう城塞都市が多いですよね。私は一番手前のジャイプルまでしか行ったことがありませんが、超ゴージャスな宮殿ホテルがあるのもラージャスターン州だし、いつか行ってみたいな。

吉咲: それで軍事力としては、当時北インドのみならず南インドまでをも配下においていた、飛ぶ鳥を落とす勢いのアラウディン・キルジーのほうが圧倒的でした。

アンジャリ: メーワール王国は押され気味だったと。

吉咲: そうです。でも、降伏するには、そこは誇り高きクシャトリヤのラージプート族ですから。

アンジャリ: で、どうなるんですか?

吉咲: (伏せます)それでああしてこうしてこうなるんですよ。

アンジャリ: !!!!!!!!

吉咲: 映画のほうの結末にも絶対に出てくるので、ここはネタバレを避けますね。気にしないという方は、「ジョウハル」「サティ」「サカ」といったあたりのキーワードで検索してみてください。日本語のWikipediaがあります。

アンジャリ: ひとつ予備知識としては、ヒンドゥー教の婚礼のときは、赤い素敵な衣装を着るってことですかね。

吉咲: 予告編にもその映像がチラッと出てきますね。

アンジャリ: 元ネタの物語をベースに、映像化するにあたっての設定や、どのあたりがどのくらいまで描かれているのかが楽しみですね。

 

なにがどう大論争になったのか?

アンジャリ: さて先生、物語の概要はわかったのですが、映画のほうです。

映画のほうの“Padmaavat”(物語より”a”がひとつ多い)は、インド国内に上映に抗議するグループがいたり、急進右派の政治家が主演女優の首をとったものに褒賞を与えるなんて発言したり、それで主演女優に殺害予告が出たりとかなり世間を騒がせて、2017年12月1日封切りが延期されたんですよ。

そのあたり、日本人には「なぜそんなに熱くなるの? 映画なのに」という感覚だと思うのですが。

インドのメディアでは連日この抗議行動で持ちきり。写真はndtvの記事より拝借

吉咲: まず抗議していたのは、くだんのラージプート族の末裔の人々のようですね。あと、ラタン・シン王とパドミニ王妃の大恋愛はラージプート絵画でも題材になっていますし、理想の夫婦像として親しまれています。

アンジャリ: 源頼朝と北条政子とか、利家とまつとか、そんな感じですかね。適当に言ってみましたけど。

吉咲: チットールガルという土地自体も、北インドのヒンドゥー教の人々にとってみると、この夫婦のロマンスに満ちた伝説で有名な場所なんです。

そしてパドミニ王妃は後世の人々によって「美化された貞淑の鑑」でもある。

アンジャリ: ははあ。女子はこう生きるべき的なロールモデルになっているわけですね。ちょっとわかってきたかも。

吉咲: いろいろ調べてみたのだけど、映画のほうでは、パドミニ王妃が敵のアラウディン・キルジーに心を動かされる描写があるのかな?

アンジャリ: そのようです。それはメディアでも盛んにやっていました。

吉咲: 貞淑の鑑が、不義を働いていたかもしれない、となると。

アンジャリ: んー、まあ、おしどり夫婦だと思っていたのに不倫報道が出ちゃったとかいって見知らぬ芸能人にプンスカ怒る人もいますしね。

吉咲: それに加え、メーワール王国はヒンドゥー教国、対するハルジー朝はイスラーム帝国

アンジャリ: そうだった! 人口の8割がヒンドゥー教徒、1割がイスラーム教徒といわれるインド。宗教対立に名を借りた政治抗争で暴動が起きてたくさんの犠牲者が出る国だった!

吉咲: やはり、現在はヒンドゥー教がマジョリティの国としては、史実とはいえイスラーム勢力に攻められて危うくなったことを描いたり、敵の君主に心奪われるような身内がいるのは……。

アンジャリ: いろいろと、感情を逆なで、しますですね。撮影はとっくに終わっていたはずで、公開が延期になったあと、そのへんを編集で関係各所やCBFC(中央映画検定局)と調整していたということでしょうかね。


※2018年1月21日追記

上記の上映延期の経緯について記述が間違っているというご指摘を複数いただいております。

元文章は事実として断定して記述しているわけではありませんが、ミスリードにつながる記述であり、本記事が多くの人の目に触れていることを真摯に受け止め、お詫びいたします。

経緯について英語で読める信頼性のあるソース「BBCニュース」のリンクはこちら(2017年11月21日付)

皆さまのご指摘やソースから得た情報を元に下記を追記いたします。

・監督自身が、パドミニ王妃とアラウディン・キルジーの不貞を描いたシーンはないと明言

・争点となっているのは「パドミニ王妃の尊厳ある描かれ方」であり、「史実と異なる部分」で抗議が起き公開延期になったわけではない

・「不貞部分」の修正によって検閲の許可がおり、公開が決定したわけではない


マサラプレス取材班が年末年始にインドにいた際は「これは時間がかかる問題だ、公開は早くとも3月になる」と連日やっていましたが。意外と早くてびっくりしました。

この監督、前作も前々作も同じように論争になっているんですよ。新作が出るとなれば動員はなにもしなくても大きい監督なので、炎上プロモーションというには本気で怒っている人が多すぎたという印象です。

吉咲: 娯楽作品としてどう仕上がっているか、気になります。

アンジャリ: 私が一番心配なのは、ここまで心待ちにして、読者の皆さんにも絶対観て! とすすめまくり、で、蓋を開けてみたら内容が骨抜になっていて大コケする、という展開です……。観ていない映画を推すってかなりチャレンジャー。

吉咲: いまさらなにを(笑)。

アンジャリ: いやでも壮麗な映像や音楽シーンだけでも観る価値は十分以上にありますので、ここはひとつ、お願いします、皆さん。

そして吉咲センセー、いろいろとわかりやすい解説、ありがとうございました。

 

想像力をかき立てる音楽シーン

さて、Masala Pressでもたびたびお伝えしている通り、インド映画の場合、プロモーションの一環として音楽シーンだけを先行公開します。

「どうせ歌って踊るんでしょ」

ええそうです、それがなんだっていうんです。これだけすごい映像を見せられて「どうせ」などと、なぜ言えましょう。

「ラ・ラ・ランド」があれだけヒットするのですから、まあまずは、騙されたと思って観てみてください、このセンスと、お金のかかり具合を。

これらのシーンがどのような流れでどこでどう使われるかというのを想像して期待を高めながら、当日、「そういうことか!」と膝を打ったりするのが楽しいわけです。

ネタバレじゃないんです、より楽しむための、重要な補足情報。

Ghoomar

さて2017年10月に発表された第一弾の音楽シーンはこちら。現時点で9千万回再生済み。

Ghoomar(ゴーマル)というのは広がるスカートを回転で見せながら踊られるラージャスターン州の民族舞踊だそうで、もとを辿ると、なかでもマルワールという商人コミュニティ(近江商人的な才覚溢れる一団)の民族舞踊だとか。

マルワールは現在もインド財界を強固に握っていて、財閥系の大企業もマルワールが中枢にいます。

マルワーリ(マルワール商人)が高級ホテルのサウナで汗をかきながら何億ルピーという商談をしていた、なんて話を実際に聞きました。

歌詞にはラージャスターン州の地方語なども混ぜられており、おそらく、ラタン・シンとパドミニの婚礼直後のシーンで流れるのではないかと思われます。

ときどきチラッと映る高貴な感じの女性は、第一夫人でしょうか。王も無邪気に喜ぶという感じではないし、ちょっと不穏な空気を漂わせていますね。はてさて。

歌うのは数々の賞に輝くシュレイヤ・ゴーシャル。同じ監督の前作でも重要な数曲を担当しています。絹を転がすような美声で複雑な音階を軽々と歌いこなす、まさに歌姫です。

Ek Dil Ek Jaan

続く11月に発表された音楽シーンはこちら。”Ek Dil Ek Jaan”というタイトル、直訳だと”ひとつの心、ひとつの魂”。

Jaanはボリウッド映画ファンには聞き慣れた単語で、”soul”, “life”といった意味のヒンディー語。”Meri jaan”(私の愛しい人)といった具合に、自分のソウルや人生そのものということで、愛しい相手のことを呼ぶときにも使います。

昔から恋愛映画の挿入歌ではジャーン、ジャーン、言っていますので、ヒンディー語がわからなくてもこの語は覚えてしまう、そんな言葉のひとつ。

お盆に灯火ディヤーを乗せているのは、神様にお祈りをしたあとのもので、外出前などに大切な人にその火をかざして無事を祈ります。そのとき赤い粉を額につけて祝福したりもします。

仲睦まじい夫婦の様子ですが、目には涙が。さあ、どんなシーンなんでしょうねえ。

あ、これは踊っていなかったですね。

ちなみにこの主演女優はかなり踊れる女優さんでもあるので、Masala Press予想ではもう1曲くらいはたっぷり踊りを見られる隠し曲があるのではないかと思います。

こういうチラ見せプロモーションやら、観てびっくりのサプライズ曲やら、インド映画って、ほんと、楽しいんですよ。ええ。

予告編の独白の意味は?

前の記事にも載せましたがもう一回載せておきます。予告編。

映像が中心ですが、ちょっとした独白部分があるので、なんと言っているか調べてみましたよ。

■ ラタン・シンの台詞がこちら

Chinta ko talwar ki nok pe rakhe
Woh Rajput..!

剣の先にいつも緊張感を携える、それがラージプート。

Ret ki naav leke samdar se sart lagaye
Woh Rajput..!

砂の船であっても大海原に挑む、それがラージプート。

Aur jiska sar katein
Phir bhi dhad dusman se ladta rahe
Wo Rajput..!

たとえ首を切り落とされてもまだ戦い敵を倒す、それがラージプート。

■ パドミニの台詞がこちら

Rajputi kangan mein utni hi taqat hai

jitni Rajputi talwar mein

ラージプートの女たちのバングルには、ラージプートの男たちの剣に負けないくらいの力がある。

……勇ましいけれど、不穏です。

 

このゴージャスな俳優陣

※2018年1月21日追記 この先、個人(執筆担当アンジャリ)の偏った好みを盛大に含みます。公平なデータとしてWikipediaのリンク追加。

ラタン・シン(シャーヒド・カプール)

Wikipedia(英語)はこちら

Wikipedia(日本語)はこちら

誇り高きクシャトリヤ(戦士)のラージプート族メーワール王国の王を演じるのは、1981年デリー生まれのシャーヒド・カプール。

甘い顔立ちに細マッチョな身体で繰り出すキレのいい踊りに定評のあるボリウッド俳優。

インドのジャニーズアイドル的な立ち位置で、踊りはいいけど演技は「?」と言われていたが、シェイクスピアの「ハムレット」を原作とする“Heider(2014)”で陰のある主人公を演じ、演技派へと躍進した。

デビュー後数年は王子様風に華奢だった体格も、インド映画界のマッチョブームに乗って(?)いつのまにかムキムキに。

パドミニ/パドマヴァティ(ディーピカー・パードゥコーン)

Wikipedia(英語)はこちら

Wikipedia(日本語)はこちら

2007年のデビュー作“Om Shanti Om(恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム)”で日本でも熱烈なファンを獲得した、いまやボリウッドで実力、人気ともに、そして1本あたり数億と言われるギャラもトップレベルのディーピカー・パードゥコーンが、本作のヒロインである。

父は国民的なバドミントン選手で、恵まれた環境で育ったものの映画界へのコネがあったわけではない。縁故社会でもある映画界へ彗星のように現れ、瞬く間にトップ女優に。抜きん出た容姿だけでなく、ストイックな努力家としても知られる。

宮廷舞踊カタックがベースになった本作品の監督の前作“Bajirao Mastani”の音楽シーンでは、振付と舞踊指導をしたインドの国宝級の宮廷舞踊カタックの踊り手、ビルジュー・マハーラージ師から大絶賛を受けた。

本作の最初のビジュアル公開の際、そのつながった眉毛がインドのおしゃれガールたちの度肝を抜いたが、「いやこれ、一周回ってかっこいいでしょ!」といわしめ、繋がり眉毛が流行したとかしないとか。

アラウディン・キルジー(ランヴィール・シン)

Wikipedia(英語はこちら)
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先行リリースのビジュアルでは野獣ぶりが目立つスルターンは、ランヴィール・シンが演じる。

不動産業を営む裕福なシンド系(パキスタンに起源を持つ)の一族に生まれ、その名のシン(Singh、シンハと発話されることも)が示す通り、インド北部でパキスタンにも広がるパンジャーブ地方の血も混ざっている。

大学在学中から俳優になるという目標があり、2010年のデビュー作”Band Baaja Baaraat”で好演、”Lootera”(2013)の表と裏の顔がある男で批評家たちの目に止まったかと思えば、続く“Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela(銃弾の饗宴 -ラームとリーラー)”(2013)で本作のヒロインでもあるディーピカーの相手役となり、その衝撃の登場シーンが多くの人の脳裏(&耳)に残り、一躍トップに躍り出た。

出世作”Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela(銃弾の饗宴 -ラームとリーラー)”(2013)は本作のサンジャイ・リーラー・バーンサリー監督作品。抜群の相性を見せたディーピカーとは私生活でも恋人関係であることを公言し、同監督の”Bajirao Mastani”(2015)でも共演、本作で3作目の共演となる。

粗野な男を演じながらもふと見せる繊細な表情にキュンとくること間違いなし。その作り込まれた筋肉度はシャーヒド・カプールよりも上(独断)。


いかがでしたか? 英語字幕、怖くなくなりましたでしょう? さあ、急いで予約にGO!!

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アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)

Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。

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