Netflixオリジナルインド映画『平方メートルの恋』がおもしろかった!

なんとも不思議な現象が起きました。

れっきとしたインド映画『平方メートルの恋』(Love per Square Foot)(リンク先に日本語字幕つき予告編あり)が、本国インドの劇場公開よりも先に日本のNetflixで公開されたのです。

日本のNetflixでの公開日はバレンタイン・デーの2月14日。インドでも同日にオンライン配信が開始したようですが、劇場公開は4月とのこと。

インドでの最新作の公開をいつも指をくわえて見ていたというのに、DVDの発売やオンラインの配信が始まるのを今か今かと待ち構えていたというのに、オンライン配信のみとはいえ、時差がなくなったんですよ。

日本語字幕つきで、インドの劇場公開よりも早く、インド映画が観られるんですよ、奥さん!

Netflixのオリジナル作品ということでおすすめに出てきたので何気なく見始めたのですが、なにこれ面白い! そして調べてみたらインドでは劇場未公開という大穴! Netflixすごい!

Netflixの予告編を埋め込めないのでインド版のYoutubeのトレイラーを貼っておきます。

以下、ネタバレはありません。

あらすじ(公式サイトより)

自分の給料だけでは住宅ローン審査に通らない銀行員のサンジェイとカリーナ。どうしてもマイホームがほしい2人は、家を手に入れるために偽装結婚を思いつく。

キャスト

サンジャイ(Vicky Kaushal)

アンジャリまだ未見ですが『Massan』(2015)や『Raman Raghav 2.0』で注目を浴びたというVicky Kaushal。等身大のいまどきの都会の若者という感じで、とってもCuteでした。それぞれ邦題『生と死と、その間にあるもの』、『ラーマン・ラーガブ2.0~神と悪魔~』としてNetflixにあります。早く観なきゃ。

カリーナー(Angira Dhar)

初めて見た女優さんですが、かわいい! 本作が映画デビュー作とか。銀幕のスターというよりはテレビの人気者という感じで、やはり等身大の女子を演じていました。

ラーシ(Alankrita Sahai)

この人も初見。モデル出身だそう。主人公たちを振り回すわがままで危険な女を絶妙に演じていました。

インドのレビューサイトよりお借りしてきました

ブロッサム(Ratna Pathak Shah)

「お!」と思ったベテランの起用。『Khoobsurat』(2014)、『Kapoor & Sons』(2016)、『ニュー・クラスメイト』(Nil Battey Sannata/2016)、『ブルカの中の口紅(Lipstick Under My Burkha/2017)』と、このところ良作に立て続けに出演しているRatna Pathak Shahがヒロインのお母さん役。鼻持ちならない王族からちょっと進歩的なクリスチャンのお母さんまでよくこなす人です。

Wikipediaより

ラター(Supriya Pathak)

こちらも「おお!」と唸ったベテラン。日本で一番知られているのは『銃弾の饗宴-ラームとリーラ-』(Goliyon Ki Raasleela Ram-Leela/2013)で演じたディーピカーのおっかないお母さん役ですね。今回は鉄道員の妻という小市民的ながらも世渡りも夫あしらいもうまい、いかにもなインドのお母さんを好演していました。

Wikipediaより

カシーン(Arunoday Singh)

どこかで見たことがある、どこだっけ? と調べたら、Hritik Roshanの『Mohenjo Daro』(2016)で敵役で出ていた人でした。忘れ得ぬ濃い風貌。

Wikipediaより

サミュエル(Kunaal Roy Kapur)
ヒロインの婚約者で古典的な価値観をもったクリスチャンという役どころ。よく見ればハンサムなのになにかを間違えて冴えないキモい男になってしまったこの感じ、どこで見たんだっけと思っていたら『若さは向こう見ず』(Yeh Jawaani Hai Deewani/2013)に出ていましたね。

Wikipediaより

 

以下、重要なネタバレはないけれど情報を入れたくない人はここまで。

ちょっとだけ感想

舞台はムンバイ。インド随一の大都会ムンバイだからこそというお話でした。

ムンバイの地価は東京よりも高いといわれています。実際のところムンバイでの住居探しが困難を極めていた身近な例をいくつか知っています。

そんなムンバイで、実直ではあるが鉄道駅のアナウンス係(おそらく下級公務員)という地味な職業の父親のもと、狭い公務員住宅でプライバシーもなく暮らしているサンジャイ。

都会育ち、そこそこ大きな会社勤め、自由恋愛にも耐性があって、ちょっとくすぶった現状を打開すべく奮闘する。ほんとうにこんな子たくさんいるんだろうなという、まさに等身大な感じがよかったです。

対するヒロインのカリーナーは、ディソウザというゴアあたりによくいる姓のクリスチャン。インドでクリスチャンとは意外かもしれませんが、人口比でいうと2%ちょい。ムンバイ一円、南インドなど、プロテスタント、カトリックともにクリスチャンの人口は決して少なくありません。

肌を隠すヒンドゥーの娘とは違い、カリーナーは足を出したスカートも履きますしノースリーブも着ます。ムンバイという都会だからというのもありますが、彼女の装いはヒンドゥー女子とは違って明らかに洋風で、これがまたよく似合っていました。

インドの庶民とお金持ちが、乗り物から住居、行きつけのレストランまでそれぞれの階級に合わせた場所を持ち、決して交わろうとしない感覚や、信仰が違う者同士の婚姻に、両家とも戸惑いながらもなんとかやっていこうする描写が、実にリアルに現代のムンバイとして描かれていたと思います。

そんな、いかにも現代的な設定のお話が、軽やかに、お茶目に、ちょっとドタバタもしながら進んでいって、最後はきちんとホロリとさせるという王道のインド映画的なエンディング。脚本もとてもよかったし、台詞の応酬にリズムがあって、見ていてとても小気味よかったです。

最後はインド映画ファンにはアッと驚くおまけもあり。

かわいい作品でした。Netflixオリジナル作品、かなりよいです。こういう形でインドの映画作品を観る日が来るとは、ほんと、時代が変わりましたねえ。

会員の方、ぜひご覧くださいね!

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アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)

Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。

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