輪廻転生 – 何度生まれ変わっても

みなさま、「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム(Om Shanti Om)」<公式サイトはこちら>はご覧になりましたか? 生まれ変わり「輪廻転生」が物語の軸になる、壮大な恋の物語です。まだご覧になっていない方、これぞインド映画! と言えるたいへん見ごたえのある傑作ですので、ぜひご覧くださいね。

それではまずは駆けつけ一曲。「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム(Om Shanti Om)」よりミュージカルシーンをお届けします。非業の死を遂げ生まれ変わった主人公が、劇中劇の一幕として悪役を追い詰めていくクライマックスです。これぞ王道のミュージカルの使い方。ゾクゾクします。いまからでも遅くはありません、日本語字幕のDVDが発売されていますのでぜひご覧ください! 主人公のマネジャー役が悪役の反応をチラッチラッと横目で盗み見る表情や、頃あいに主人公の髪をなびかせる風や、いやー、もう、たまりません。

Dastaan-E-Om Shanti Om

この輪廻転生、インドではわりとポピュラーな概念です。仏教にもありますね。いわゆる、肉体は死んでも魂は生まれ変わっていく、というやつです。たいへんざっくりした説明ですがね。映画のジャンルとしても「輪廻モノ」として確立しています。日本公開されたものでは、ほかに「ラ・ワン(Ra One)」<公式サイトはこちら>も、輪廻モノといえるでしょう。さえないパパがかっこよく生まれ変わり(正確にはちょっと違う)息子を守るという物語です。まあ、とにかく観てください。

かなり前のことになりますが、「カランとアルジュン(Karan Arjun)」という作品が日本で公開されたこともありました(※)。こちらも非業の死を遂げた兄弟が、母の願いのもと生まれ変わり、自分たちを殺した相手に復讐を遂げる物語です。けっこう壮絶なラストを迎えますが、私は血みどろよりはきれいどころの踊りがすきなので、こんな一曲をどうぞ。

※ 日本公開は1998年インド映画祭 / 1999年大インド映画祭IIインドセンター配給

Gup Chup Gup Chup

「歌って踊って」のインド映画のイメージそのままですね。昨今のインド映画は国外市場を視野に入れた洗練されたものが多く、それはそれでよいのですが、私はこういうザ・インドな、ベッタベタにベッタベタな、コッテコテにコッテコテなミュージカルシーンもですね、こよなく愛しているのでございます。

えー、そんなわけで、インド映画とともに半生を過ごしてきた私のアタマには、輪廻転生がすり込まれているんですね。ここまでずいぶん引っ張りました。

はい。本題に入ります。

夏の終わりのことでした。インド映画配給ビジネスの道を探るべく活動を始めることを母に話したところ、

「アンタね、知らなかったかもしれないけど、我が家は映画にはツキがないのよ……」

知られざるアンジャリ家の秘密を初めて聞きました。

昔々、東京は下町で三代続く江戸っ子だったという母方の曽祖父。手広く米の商いをしていたそうです。祭りとなると、やんややんやと神輿の上に乗るような、根っからの江戸っ子気質。

そんな曽祖父ですから、地元のお寺の住職から「この街に映画館をつくらないか?」という話を持ちかけられましたらば、ふたつ返事で承諾し資金の提供をしたそうでございます。さすが江戸っ子、粋ですね〜。もともと広く浅く芸事に縁のある家風だったそうですから、映画館をつくるとなれば使命のようなものを感じたのかもしれません。

しかーし。映画館建設の夢は泡となって消えました。

くだんの住職が、曽祖父が提供した資金を持って行方知れずになってしまったのです。なんということでしょう。

曽祖父には8人の子がいました。7番目が私の母の母、つまり祖母で、8番目にやっと男児が生まれるまではずっと女児ばかりだったそうです。そんな女ばかりの一家を抱えて、お金を持ち逃げされるとは。さあ大変。

そこで猛然と立ち上がったのが曽祖母で……という話の続きはまだ聞いていないのでまたいつか(笑)

そんなわけで、母いわく「映画にはツキがないのよ……」。長年、あっちへフラフラこっちへフラフラ放浪の限りを尽くした放蕩娘がやっと落ち着いた暮らしをしているというのに、またなにか怪しげな話をしているわ、という一抹の不安がその顔に垣間見えました。

しかし、そんな曽祖父の話を聞いて、萎縮するどころかますます燃えたぎる私の野望です。

なぜなら私のアタマはすでに8割方インド脳ですので。もちろん。

恋するインド脳⭐︎何度生まれ変わっても、また映画館をつくってやる!!! (メラメラメラ〜)

そうなりますわね、やはり。ほら、映画館をつくるにはまずは映画の配給をしないといけないですし。

空から見ていてくださいよ、ひいじいちゃん!

と曽祖父に誓って、それではみなさん、また次回まで、ハッ、次回こそは最新インド映画情報などお伝えしたい所存です、ナマステ、ナマステ、ナマステ!

※ よく考えたら生まれ変わりではなくて、因縁についてのお話でしたね……。

 

トップ写真:ヒンドゥー正月ディワーリーの電飾を品定めする夫婦 写真提供: 鈴木千晶

投稿者: アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)

Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。