Bajiao Mastani 美女競演 “Pinga”に酔う

3連休の中日、みなさまいかがおすごしでしょうか。相変わらずイン度の高い毎日をすごしているアンジャリです。

来週あたりから本年下半期の目玉作品が続々公開されていきます。毎週自分の国の映画の封切りがあるなんて、インドは本当に映画大国です。うらやましいです。

こういった映画は、大作であればまず間違いなく、香港、シンガポール、マレーシアあたりは本国とほぼ同時公開されます。インドよりは楽にいけることもあって、日本のコアなインド映画ファンは、封切りされたばかりの作品を鑑賞しに、わざわざこれらの国々まで出かけているようです。最近はLCCも運行していますし、ビザもいらないのでインドよりはずっと訪れやすいですね。

ムンバイでとある中堅どころのインドの配給会社様とお話ししているさなか、そんなことをちょっとお話ししましたら、「インド映画を観るためだけにわざわざ外国まで出かけるファンがいるのか?」ととても驚いていました。これらの国々はインド系の住民も多く、またインド系ではなくても、インド映画を鑑賞する一定の層がいます。だから大作であればあるほど、本国と同時公開にしないとすぐ海賊版が出回ってしまうのだそうです。海賊版が出回って深刻な利益の侵害が起きるくらい、日本のファン層を厚くそして熱くしたいものです。そうすれば夢の本国と同時公開が叶う日がくることでしょう!

さて昨日お伝えしたEros International様配給の”Bajirao Mastani(バジラーオとマスターニ)”。12月18日封切りまで1ヶ月を切りまして、あちらこちらでプロモーションもいよいよ追い込みに入ってきました。昨日ご紹介した最新の予告編のほか、挿入歌のミュージカルシーンもいくつか公開されています。昔はカセットテープでサントラ音楽を売り出し、それが浸透したころに本編公開という流れでした。いまはFacebook等のSNSやYoutubeでの拡散が増え、インド国外からも最新情報にタイムラグなく触れることができるようになりました。それだけに本編が観られない、おあずけをくらった状況はファンにはツライですね……。

では数日前にEros Nowにて公開された”Pinga”、いってみましょうか! 主人公のマラーター王国の宰相バジラーオの第一夫人カーシを演じるプリヤンカー・チョプラ(Priyanka Chopra)と第二夫人マスターニを演じるディーピカー・パードゥコーン(Deepika Padukone)の競演です。ふたりとも年齢やキャリアが被るせいもあってよく比較されています。どちらも比較的踊れる女優さんなので、こういったミュージカルシーンは見応えがありますね。

ちなみに、”Pinga”とは聞きなれない言葉だなあと思ったら、マラーティー語で女神ドゥルガーの呼び名という記述を見かけました。Bajirao Mastaniの物語の舞台はどうやらインド中央部デカン高原あたりのようですが、女神ドゥルガーといえばよく知られているのが、インド東部ベンガル地方(コルカタ[旧名カルカッタ]がある)で特に信仰の篤い、ちょっと勇ましい女神です。本年日本でも公開された「女神は二度微笑む(Kahaani)」(インドでの公開は2012年)で物語の重要なメタファーとして登場した女神といえば、ご記憶にあるかたもいらっしゃるでしょうか。

*2015年12月11日追記:”Pinga”という言葉、「飛んだり跳ねたりぐるぐる回ったり」という意味もあるそうで、マラーティー語文化圏において、新妻を家に迎え入れる際に新郎側の女性の血縁が行う儀式の一環で行われるゲームのような慣習のことだそうです。確かに飛んだり跳ねたりしていますね!

Pinga

これを観て、古いファンならまず、同じ監督の2002年の出世作”Devdas”で同じく女神ドゥルガーをテーマにした”Dola Re Dola”を思い出すことでしょう。80年代後半〜90年半ばに絶大な人気を誇った女優マードゥリー・ディークシト(Maduri Dixit)と、90年代後半に「ミス・ワールド」の称号をひっさげてキラ星のごとく登場したアイシュワリヤー・ラーイが美しすぎる競演を果たしたミュージカルシーンでした。映画の筋はひたすら救いがなくて私はあまり記憶にありませんが、このミュージカルシーンは鮮烈に覚えています。ベテランと若手、旧と新の火花が散っているのが見えるような本気の競演で、動きのひとつひとつが息をのむミラクルそのもののミュージカルシーンだった、ということに異論はないでしょう。

Dola Re Dola

いかがでしょうか。2015年のディーピカー&プリヤンカも健闘していると思います。1カットの長さもかなりあるし、恐れ多くもうまいへたをいうなら間違いなくうまい!と思います。これを踊れといわれたら私アンジャリ、間違いなくドジョウすくいになる自信があります! が、ディーピカー&プリヤンカのようなゴージャスコンビですら2002年のマードゥリー&アイシュワリヤーの競演にはかなわないなあというのが正直な感想でもあります。前者の振り付けはボリウッド映画界の振り付けの神様サロージ・カーン(Saroj Khan)、後者はいま風の踊りならこの人のレモ・ディソウザ(Remo D’Souza)

古典舞踊のしっかりした素養があるマードゥリー&アイシュワリヤーにはやはりサロージの振りがよく合いますし、いまどきのディーピカー&プリヤンカにはレモのダイナミックな振りがよく合っています。好みはいろいろですし、テイストの違いといってしまえばそれまでですね。うーん、でも私はやっぱり厳格なインド古典舞踊の基礎がしっかり生かされたマードゥリー&アイシュワリヤーが好きですねえ。ボリウッド界の若手の女優さんで、このふたりほど踊れる逸材はしばらく登場していないように思います。うーん、惜しい!


本日の地名 コルカタ(旧名カルカッタ)※ 女神ドゥルガー信仰が篤いベンガル地方の中心地

Post Author: アンジャリ(Anjali)

アンジャリ(Anjali)
Masala Press代表・印流楽しいこと案内人。神奈川県茅ヶ崎市生まれ。東京外国語大学インドネシア語科卒。学生だった1997年にバックパッカーとして単身インドを訪れ3ヶ月を各地で過ごす。以後、インドの舞踊と映画に心酔。ガイドブックなどのライターを経て旅行会社に就職、インド専門添乗員を務めるも、2001年からはインドとロンドンを拠点に放浪生活を送る。2006年に本帰国、外資系証券会社に再就職、10年間の会社員生活を経て、現在、インド映画の印流ブームを興すべく奮闘中。